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サウナに適した木材の種類とその特徴

サウナ室内の内装材には木材が使用されていることがほとんどですが、その理由としては、木材が持つ特性が、石材や金属、樹脂製品などの木材以外の素材に比べ、サウナ室内の環境に適しているためで、以下にサウナ用木材として適した特徴を紹介していきます。

サウナ用木材

サウナ用木材の特徴

1.耐熱性と耐湿性

木材は熱を吸収し、徐々に放出する性質があります。このため、サウナ内の温度を均一に保ち、急激な温度変化を防ぐことができます。また、木材は断熱性が高いため、外部への熱の漏れを抑え、効率的に室内を温められます。

2.肌触りの良さと安全性

木材は表面が柔らかく、熱を持ちすぎない素材です。そのため、サウナのベンチや壁に触れても火傷しにくく快適です。金属や石材に比べて硬くなく、肌触りが温かく、リラックス効果があります。

3.湿度調整能力

木材は吸湿性と放湿性があり、サウナ内の湿度を自然に調整する能力があります。これにより、適度な湿度が保たれ、心地よい空間を作り出します。

4.香りとリラクゼーション効果

木材特有の香りはアロマセラピー効果を持ち、リラックス感を高めます。木材を内装に使用した室内では、森林浴に似た効果が体験できます。木の香りから感じられるリラックス効果と、手足に触れた柔らかさからは温もりを感じ、木目の表情は視覚に安らぎをあたえ、音楽ホールでも木製の内装が利用されるように聴覚にも優しく、木材の内装は五感のすべてに癒しを感じさせてくれる効果があります。

5.耐久性とメンテナンス性

サウナに適した木材(サーモウッドやヒノキなど)は、高温多湿の環境でも腐りにくく、耐久性が高いのが特徴です。また、適切なメンテナンスを行えば長持ちします。

6.自然素材としての親和性

サウナは心身を癒す空間として、自然素材が好まれます。木材の自然な美しさや質感が、リラクゼーションを促し、視覚的にも心地よい空間を提供します。


サウナ用木材

サウナに適した木材の種類

1.ヒノキ(桧・ひのき)

ヒノキ科ヒノキ属の針葉樹。
ヒノキは日本を代表する針葉樹で、スギと並び日本全域で人工林として生育されている樹種です。
主に建築材として使用され、最高品質の高級材とされている。
特長としては、色が白く赤みを帯び、加工が容易な上に緻密で狂いがなく、耐水性や耐朽性に富んで光沢があり、日本人好みの強い香りはリラックス効果を高めると言われています。

2.スプルース(スプルス・トウヒ)

トウヒ属はマツ科の針葉樹。
主な産地は、北米やヨーロッパ。
色味は、白色~黄褐色で、弾力性があり、加工がしやすい。
主に、建築用材として、造作材や建具材、家具材、内装材などに使用されていますが、耐久性が低く、虫による害をうけやすい。

3.ヘムロック(米栂・カナダツガ)

マツ科ツガ属の常緑針葉樹。
北アメリカ大陸の冷涼で湿潤な太平洋沿岸に自生する。
白っぽい肌色をしており、非常に綺麗な色味を有しています。
硬度が高く、ヒノキと同程度の硬さを誇ります。
主に、住宅の内装材や造作材として使われていますが、耐久性は低く、サウナでの使用には耐久性を高める処理が必要です。

4.レッドシダー(米杉)

ヒノキ科ネズコ属の針葉樹。
北米太平洋側の比較的温暖な雨量の多い地域に生息し、樹高60メートル、直径2メートル
を超える大木に成長します。
耐久性、耐水性に優れ、アロマにも利用される甘い香りが特徴です。
色味にはバラツキがあり、柔らかく温かみのある木材です。

5.アスペン(ヤマナラシ)

ヤナギ科の広葉樹で、北米やヨーロッパに分布する木材です。
白色から薄い灰褐色で、軽量かつ軟らかな材質が特徴です。
軽量で適度な強度を備え、摩耗にも強く、家具や内装の仕上げ材など幅広い用途に利用されています。

6.パイン(松)

北米や欧州産のマツ科の樹木。
安価で加工しやすいが、ヤニが出やすい木材です。
ヤニの除去や、乾燥処理が必須。

7.サーモウッド(水蒸気式高温熱処理木材)

「サーモウッド」とは、サウナの本場フィンランドで開発された技術で、水蒸気と高温の熱処理によって、木材内部の水分を限りなく減少させた木材です。
耐朽性、寸法安定性、断熱性が高く、サウナ室内の過酷な環境下においても、汗や汚れ、カビや腐朽菌の吸収を妨げ、美しく清潔な状態を長期間保ちます。
国産のサーモウッドは、環境への負荷が少なく、品質が優れたものが多い。


サウナに適した木材の比較表

木材耐久性香りヤニの量価格流通量特徴
ヒノキなし高級感があり、耐久性に優れる。香りが良く、日本のサウナで人気。
スプルース×なし北欧で広く使われる。明るい色合いでサウナに適している。
ヘムロック×ヤニが少なく、安定した品質。無臭で万人向け。
レッドシダーほぼなし防虫・防腐性が高く、サウナ向け。香りの好みが分かれる。
アスペンなし明るい色合いで清潔感がある。北欧でよく使われる。
パイン×多い安価でコストを抑えやすいが、ヤニが出やすい。処理が必要。
サーモウッドなし耐久性・耐水性に優れる。国産材は環境に優しい。北欧のサウナで実績多数。


まとめ


今回、サウナに適した木材の種類とその特徴をご紹介してきましたが、実際にサウナを計画する際には、それぞれの木材の特性をよく理解したうえで、使用する木材を選定する必要があることが分かります。

例えば、個人的に利用するプライベートサウナでは、商業目的のサウナに比べ利用頻度が少ないため、重視すべき点は耐久性よりも、価格やオーナーの個人的な木材の好きな香りや色味で選択するという方法も考えられます。

一方、宿泊施設やサウナ施設に採用する場合には、利用頻度、利用時間が長時間となるため、最も重視すべきは耐久性です。

通常、宿泊施設やサウナ施設では、2~3年に一度、サウナ室内のベンチやスノコ、壁材などの木材を交換する必要があるため、少しでも耐久性の高い木材を利用して、交換までの期間を延ばすことが求められます。

木材の耐久性が伸びれば、交換頻度が減少し、メンテナンスやリフォームに要する工事費、材料費が抑えられるとともに、工事に伴う休業期間も不要となるため、経営面でのメリットも大きくなると考えられます。

木材の選定には、初期投資の費用だけでなく、将来的に必要なコストも考慮し、長期的なランニングコストで選定する必要があります。

このような理由から、宿泊施設やサウナ施設のサウナの内装には、「サーモウッド」などの耐久性に優れた木材がおすすめと言えそうです。

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