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コラム

サウナ用木材の交換時に注意すべきこと
〜快適さと安全性を長く保つためのポイント〜
サウナは、心と体を癒やす大切な空間です。熱と湿度に包まれたあのひとときは、多くの人にとって最高のリラックスタイムでしょう。しかし、そんなサウナ室も長く使い続けると、内部の木材が徐々に劣化していきます。ベンチや壁、天井に使われている木材は、常に高温多湿という過酷な環境にさらされているため、定期的な交換が欠かせません。
今回は、**「サウナ用木材を交換する際に注意すべきこと」**を、専門的な視点と実用的なアドバイスを交えてご紹介します。
1. なぜサウナ木材は交換が必要なのか
サウナ室の木材は、常時60〜100℃の高温と変動する湿度にさらされます。特にロウリュやスチーム式サウナでは急激な温度変化が繰り返され、木材内部まで熱と水分が浸透します。
これにより以下のような変化が起こります。
- ひび割れ・反り
木材は熱と水分の繰り返しで膨張・収縮を繰り返し、やがてひびや反りが発生します。 - ささくれ・表面の荒れ
表面の繊維が毛羽立ち、座った際や素足で歩くとケガの原因になります。 - カビや変色
高湿度や水滴の残留により、黒カビや灰色の変色が進みます。 - 衛生面の問題
汗や皮脂の蓄積、菌の繁殖により不衛生な状態になることも。
安全性・衛生面・見た目の美しさを保つためには、一定期間ごとの交換が必要なのです。

2. 交換時期の目安
木材の寿命は、使用環境とメンテナンス頻度によって大きく変わります。一般的な目安は以下の通りです。
部位 | 交換目安年数 | 劣化サイン |
---|---|---|
ベンチ天板 | 2〜5年 | ひび割れ、ささくれ、変色 |
背もたれ | 3〜6年 | 汚れ、カビ、表面荒れ |
壁・天井板 | 5〜10年 | 反り、割れ、変色 |
床スノコ | 1〜3年 | カビ、腐朽、ささくれ |
特にベンチとスノコは消耗が早いため、こまめなチェックが大切です。
3. 交換時に注意すべきポイント
(1) 木材の選び方
サウナ用木材は、「熱くなりにくい」「ささくれにくい」「香りが良い」ことが求められます。代表的な選択肢は以下です。
- 国産ひのき
香りが良く、肌触りが滑らか。日本人に馴染みやすい落ち着く香りが特徴。 - サーモウッド(サーモひのきなど)
高温処理で耐久性と寸法安定性が向上。湿気やカビにも強い。 - フィンランド産アスペン
熱伝導率が低く、表面が熱くなりにくい。無臭で落ち着いた色合い。 - スプルース
北欧サウナで広く使用される軽量材。明るい色で清潔感がある。
中でもサーモ処理された国産ひのきは、香り・耐久性・防カビ性を兼ね備えた高性能材として注目されています。

(2) 表面加工と安全性
座面や背もたれは、素肌が直接触れる部分です。面取り加工(角を丸くする)や、プレナー仕上げで滑らかにしておくことが必須です。
特に、交換時には**「素足や素肌で触れても痛くないか」**を基準に選びましょう。
(3) 湿度・温度環境との相性
乾式サウナ、スチームサウナ、ロウリュサウナでは木材への負担が異なります。湿度が高い環境ほど、耐湿性に優れた木材やサーモウッドが有利です。
4. 施工・交換時の注意点
(1) 既存木材の撤去
古い木材を外す際は、表面だけでなく下地や骨組みもチェックします。腐食やカビが進行している場合は、その部分も修繕しましょう。
(2) 下地・断熱・防湿層の点検
サウナの快適性と安全性は、見えない部分に左右されます。壁や天井の裏側にある断熱材や防湿シートが破れていないかを確認し、必要に応じて補修します。
(3) 金物・ビスの交換
サウナ内部では金属が腐食しやすく、ネジ頭が浮いたり折れたりする危険があります。交換時にはステンレス製や耐食性の高い金物を使いましょう。
5. 交換後に長持ちさせるメンテナンス
(1) 使用後の乾燥
サウナ利用後はドアを開けて換気し、湿気を飛ばします。特にスノコやベンチ下は湿気がこもりやすいので要注意です。
(2) 定期的な清掃
柔らかいブラシで木目に沿って汚れを落とし、必要に応じて軽くサンディングすることで、表面が再び滑らかになります。
(3) 防カビ・除菌対策
木材専用の防カビスプレーやアルコール除菌を、乾燥後に施すと効果的です。
6. まとめ
サウナ用木材の交換は、見た目のリフレッシュ以上に、安全性・衛生面・快適性を守るための大切な作業です。
木材選びから施工、メンテナンスまでをしっかり行うことで、サウナは長く愛される空間となります。
もし、交換用木材の選定に迷ったら、**耐久性と肌触りのバランスに優れた「サーモウッド(サーモひのきなど)」**を検討すると良いでしょう。
安全で心地よいサウナ時間を守るために、次の交換は計画的に行ってみてください。