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コラム

サウナ用木材として重要なこととは?

サウナ専用木材で快適なサウナ室内環境を

― 温度・湿度・肌触り・耐久性まで、後悔しないための本質的な考え方 ―

サウナづくりにおいて、木材選びは「見た目」以上に重要な意味を持ちます。
なぜならサウナ室は、一般的な建築空間とはまったく異なる、高温・高湿・急激な温度変化という過酷な環境だからです。

「サウナといえばヒノキ」
「無垢材なら大丈夫」

こうした認識は間違いではありません。ただし、サウナという空間を深く理解すると、それだけでは足りない理由が見えてきます。
本記事では、サウナと木材の両面を知る立場から、サウナ用木材として本当に大切な考え方を整理します。


サウナ室は、木材にとって“極端な環境”

高温と高湿が同時に繰り返される空間

サウナ室内は80〜100℃前後の高温環境にさらされ、ロウリュによって短時間で湿度が急上昇します。
木材にとっては、

  • 吸湿と乾燥の急激な繰り返し
  • 内部応力の発生
  • 樹脂成分の移動
  • 表面温度の上昇

が常に起こる、非常に負荷の大きい条件です。

サウナ室内ベンチ傷み、黒ずみ
サウナベンチ木材の割れ
サウナ木材の黒ずみ

一般的な内装材の想定を超えている

住宅や商業施設の内装に使われる無垢材は、ここまでの温湿度変化を前提にしていません。
そのためサウナ室では、

  • 反りや割れ
  • 毛羽立ち
  • ヤニのにじみ出し
  • 触れたときの過度な熱さ

といった問題が、施工後しばらくしてから現れることがあります。


サウナ用木材に求められる4つの条件

① 高温でも「触れる」表面温度であること

サウナベンチや背板は、素肌が直接触れる部位です。
重要なのは室温ではなく、木材がどれだけ熱を伝えにくいか

密度が高すぎる木材は、触れた瞬間に熱さを感じやすく、
無意識に身体を緊張させてしまいます。


② 湿度変化に強く、寸法が安定していること

ロウリュ後の急激な湿度上昇と、その後の乾燥。
この繰り返しに弱い木材では、

  • 目地が乱れる
  • 板同士に段差が出る
  • ビス周りから割れが生じる

など、見た目と安全性の両面で支障が出てきます。


③ ささくれにくく、快適な肌触りが持続すること

サウナはリラックス空間であり、肌への優しさは必須条件です。
乾燥と湿潤を繰り返すことで繊維が毛羽立つ木材は、長期使用に向きません。


④ 香りが「強すぎない」こと

意外に見落とされがちですが、サウナ室では香りが増幅されます。
天然木の香りは魅力ですが、

  • 強すぎる
  • 甘ったるい
  • 焦げたように変化する

といった香りは、好みが分かれ、クレーム要因になることもあります。


「ヒノキなら安心」という思い込みの落とし穴

無垢ヒノキが抱える弱点

ヒノキは確かに優れた木材です。
しかしサウナ用途においては、以下の弱点も持ち合わせています。

  • ヤニ(樹脂)が高温でにじみ出やすい
  • 湿度変化で反りやすい
  • 表面が乾燥すると毛羽立ちやすい

これはヒノキが悪いのではなく、使われ方の問題です。

本来の性能を引き出す「前処理」の重要性

同じヒノキでも、

  • 乾燥方法
  • 含水率
  • 熱処理の有無

によって、サウナでの耐久性と快適性は大きく変わります。


木材の安定性を高める「サーモウッド」という考え方

サウナ用木材「サーモひのき」

熱処理によって木材の性質を整える

近年、サウナや温浴施設では、サーモウッドと呼ばれる熱処理木材が選択肢の一つとして注目されています。
これは高温の水蒸気環境で木材を処理し、内部の性質を安定させる技術です。

サーモウッド処理を施した木材は、

  • 吸湿性が大幅に低下
  • 寸法安定性が向上
  • 樹脂分が抑制される
  • 経年変化が穏やかになる

といった効果が得られます。

使っている最中に強く意識されることはないものの、
数年後に差として現れる安定感
それがサーモウッドがサウナ空間で評価される理由の一つです。

薬剤を使わない安全性

サウナは高温になるため、薬剤処理材は不向きです。
熱処理は薬剤を一切使用しないため、
素肌で触れる環境でも安心して使えます。


部位ごとに考える、サウナ木材の適材適所

ベンチ・背板

  • 表面温度が上がりにくい
  • ささくれにくい
  • 清掃しやすい

意匠よりも「座ったときの安心感」が最優先されます。

壁・天井

  • 反りや割れが出にくい
  • 色変化が穏やか
  • 長く美観を保てる

視線に入る部分だからこそ、数年後の表情が重要になります。


本当に差が出るのは「完成から数年後」

完成直後は、どの木材も美しく見えます。
しかしサウナは、繰り返し使われ続ける空間です。

  • 黒ずみや汚れはどうか
  • 触れたときの感触は変わっていないか
  • 補修や交換が必要になっていないか

この違いは、木材の選択と、その前段階の考え方で大きく分かれます。


まとめ|サウナ用木材選びで大切にしたい視点

サウナ用木材として重要なのは、

  • 高温・高湿環境を前提に考えること
  • 見た目より、触れたときの快適性
  • 一般内装材の常識をそのまま持ち込まないこと
  • 5年後、10年後の状態を想像すること

サウナは、人の身体に最も近い建築空間です。
だからこそ、木材の選択は空間の質そのものを決めると言っても過言ではありません。

どの木材を選ぶか。
そして、その木材をどのような状態で使うか。
その積み重ねが、長く愛されるサウナをつくります。

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