COLUMN

コラム

“ととのう”サウナは、なぜ素材選びから設計されているのか

サウナに入ったあと、
「今日は本当に気持ちよかった」
「なぜか印象に残っている」
そんな感想を抱くサウナがあります。

温度設定も適切。
ロウリュの湿度感も悪くない。
それでも体感に差が生まれるのは、なぜでしょうか。

その理由は、ストーブや設備の性能だけでなく、
空間全体がどのように設計されているか
とくに「素材の扱い方」にあることが少なくありません。

本記事では、
サウナの満足度を左右する木材という素材に着目しながら、
なぜ“ととのうサウナ”ほど、設計段階から素材が考えられているのかを解説します。


サウナの満足度は「数値」では決まらない

サウナというと、まず話題に上がるのは、

  • 室温は何度か
  • ストーブの出力
  • ロウリュの可否

といった、数値やスペックです。

もちろん、これらは欠かせない要素です。
しかし、実際に利用者の記憶に残るのは、
数値そのものではありません

  • ベンチに腰を下ろしたときの安心感
  • 背中に触れる面のやわらかさ
  • 熱が刺さらず、じんわり伝わる感覚

こうした身体感覚の積み重ねが、
「また入りたいサウナ」につながっていきます。

そして、その感覚を支えているのが、
人が直接触れる素材=木材です。


肌に触れる木材が体感を左右する理由

サウナ室内で人の身体が触れる部分は限られています。

  • ベンチ
  • 背もたれ
  • 手すり
  • 床の一部

これらの多くは木材で構成されています。

木材は、単なる仕上げ材ではありません。
熱の伝え方、湿気の受け止め方、触感に大きく影響します。

たとえば、

  • 含水率が不安定な木材は、反りや割れが生じやすい
  • 表面が荒れやすく、ささくれの原因になる
  • 経年で匂いや質感が変化しやすい

こうした問題は、完成直後には気づきにくく、
使い続ける中で徐々に現れます

そのため、サウナ用木材には
見た目以上に「安定性」が求められます。


サーモ処理木材(サーモウッド)という選択肢

サウナ用木材「サーモひのき」
サウナ用木材「サーモひのき」

近年、サウナ空間で注目されているのが、
サーモウッド(高温熱処理木材)によって性質を安定させた木材です。

サーモウッドは、
薬剤を使わず、高温の熱のみで木材内部の成分構成を変化させる技術です。

これにより、

  • 含水率が安定しやすい
  • 反りや収縮が起きにくい
  • 樹脂分が落ち着き、香りが穏やかになる

といった特徴が生まれます。

高温多湿という過酷な環境にさらされるサウナでは、
こうした素材の安定性が、そのまま体感の質につながります。


ストーブ性能と素材は、切り離せない関係

サウナの熱環境は、
当然ながらストーブの性能に大きく左右されます。

出力、蓄熱量、ロウリュ時の立ち上がり。
これらをどう活かすかは、
空間全体の設計次第です。

近年は、ストーブメーカー側からも
「どのような空間で、どのように使われるか」を意識した
設計提案がなされるようになっています。

たとえば、BROS SAUNA のように、
サウナストーブの開発を軸としながら、
設置環境や空間構成まで含めて情報発信を行うメーカーも見られます。

ストーブの性能を最大限に引き出すためには、
周囲の素材や配置が重要である、という考え方です。

▶︎ BROS SAUNA 公式サイト


設計段階から素材を考えるということ

完成度の高いサウナほど、

  • ストーブ性能
  • 空間の寸法
  • 人の動線
  • 触れる素材

これらを同時に考えています

木材は、後から選ぶ部材ではなく、
体験を構成する要素の一つです。

数年後も、気持ちよく使われ続けるか。
経年変化が「劣化」ではなく「味わい」になるか。

その分かれ目は、
設計段階でどこまで素材に目を向けているかにあります。


“いいサウナだった”の正体は、細部に宿る

「なんとなく良かった」
「説明できないけれど、心地よかった」

そう感じるサウナには、
必ず理由があります。

それは、
目立たない部分にまで配慮が行き届いていること。
素材・熱・空間が、無理なく噛み合っていること。

サウナづくりを考える際には、
ぜひストーブや設備だけでなく、
素材がどのように選ばれているかにも目を向けてみてください。

その積み重ねが、
長く愛されるサウナ空間をつくっていきます。



よくある質問(サウナ用木材・素材選び)

Q1. サウナで使う木材は、なぜ特別なものが必要なのですか?

A.
サウナは高温・高湿という、木材にとって非常に過酷な環境です。
一般的な内装材では、反り・割れ・ささくれ・変色などが起きやすく、
完成直後は問題がなくても、使い続ける中で不具合が表面化するケースが少なくありません。

そのためサウナ用木材には、
寸法安定性や経年変化の穏やかさなど、
通常の建材とは異なる性能が求められます。


Q2. サウナの心地よさは、ストーブ性能だけで決まりますか?

A.
決まりません。
ストーブ性能は非常に重要ですが、
実際の体感は「熱がどのように伝わり、どこに触れるか」で大きく変わります。

ベンチや背もたれなど、
人の身体が直接触れる部分の素材によって、
同じ温度でもやさしく感じたり、刺すように感じたりするためです。

ストーブと素材は、切り離して考えることはできません。


Q3. サーモ処理木材(サーモウッド)とは、どのような木材ですか?

A.
サーモ処理木材(サーモウッド)とは、
薬剤を使わず、高温の熱だけで木材の性質を安定させた素材です。

この処理により、

  • 含水率が安定しやすい
  • 反りや収縮が起きにくい
  • 樹脂分が落ち着き、香りが穏やかになる

といった特徴が生まれます。

サウナのような環境では、
こうした素材の安定性が体感の質に直結します。


Q4. サウナ用木材は、当初の見た目で選んでも問題ありませんか?

A.
当初の見た目だけで選ぶのはおすすめできません。
木材の本当の差は、完成後すぐには見えないことが多く、
数か月〜数年後に現れるためです。

割れや変色、反り、表面の荒れなどは、
素材の内部特性に大きく左右されます。

長く使うサウナほど、
「経年変化後の姿」を想像して素材を選ぶことが重要です。


Q5. サウナづくりで、素材はいつ決めるのが理想ですか?

A.
理想は、設計の初期段階です。

完成度の高いサウナほど、

  • ストーブ性能
  • 空間寸法
  • 人の動線
  • 触れる素材

を同時に検討しています。

素材を後回しにすると、
設計と体験にズレが生じやすくなるため、
できるだけ早い段階での検討が望まれます。


Q6. 「いいサウナだった」と感じる理由は何ですか?

A.
多くの場合、それは一つの要素ではなく、
細部の積み重ねによるものです。

熱の伝わり方、触れたときの感触、空間の落ち着き。
それらが無理なく噛み合ったとき、
人は「説明できない心地よさ」を感じます。

その背景には、
素材・設計・使われ方への丁寧な配慮があります。

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